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少女七竈と七人の可愛そうな大人
桜庭 一樹 / 角川書店 Amazonランキング:35496位 Amazonおすすめ度: ようやく落ち着いた気分になれた 古風な作品に巡り合った 久しぶりに☆5つ!! わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった 鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで。序章である「辻斬りのように」はどこかで読んだことがある。なんだっけなー、と読みながら悶々としていたんだけどSweet Blue Ageだ!なるほど、こう繋がるわけですね。 昭和の話なのかな。美しくうまれてしまった七竈に感情移入することは出来なかったけれど、なぜか共感出来てしまった。地方都市というのは中々暮らしにくい。自分の直接の知り合いではないにしても、知り合いの知り合い、などという風にどこかで繋がってしまう。この閉ざされた空間から出るために、雪風との閉ざされた世界からも出なくてはならないのが切ない。呪いは親だけでなく子供にまで振りかかる。本人たちの意思とは関係なしに。P135の雪風のセリフが本心だったと思うんだ。平凡であることと特別であることと一体どちらがつらいだろう。あたしはやはり特別にあこがれてしまうけれど。ビショップ視点の話がすごくいい。彼にかかれば七竈ですら平凡になってしまう。後輩の七竈への憧憬は少女特有なものであると思われる。読み始めたころは辻斬りのように、のことで悶々としたけど、読み終わってからは別のことで悶々とした。どこか物悲しい少年と少女の成長のお話だったな・・・。言い換えれば親に振り回された少年と少女の物語。果たして可愛そうなのは大人だったのだろうか。
2006.11.25 Saturday | 小説(さ行の著者) | ▲
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